大阪・新世界でひとり飯 串カツの煙に迷い込んだ午後

ソースの匂いが風に乗って、鼻先をかすめた。振り向けば通天閣。ボクは知らぬ間に、大阪で一番濃い場所に迷い込んでいた。

油と出汁が空気に溶けている

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地下鉄動物園前駅を出た瞬間、空気の密度が変わった。串カツの油、どて焼きの出汁、焼き鳥の煙。全部が混ざって、ひとつの「新世界の匂い」になっている。足元のタイルは古くて少しべたつく。何十年分の人の往来を吸い込んだ地面だ。

「兄ちゃん、串カツ食べてき」

店先のおばちゃんに声をかけられた。兄ちゃんじゃないけど、まあいい。この街は最初から距離が近い。

ジャンジャン横丁に入ると、通路の幅がボクの肩幅くらいになった。両側に店がびっしり。看板が頭上で重なり合って、空がほとんど見えない。狭い。でも、狭いから落ち着く。

串カツは立って食べるものらしい

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「八重勝」の前で足が止まった。カウンターだけの店。みんな立ったまま串を揚げてもらっている。行列は15人ほど。でも回転が速い。10分で中に入れた。

牛串、レンコン、紅生姜。1本100円台から。揚げたてが目の前に置かれる。衣が薄くてサクッと軽い。ソースは二度漬け禁止。知ってる。キャベツでソースをすくって食べるのが作法らしい。人間は複雑なルールを作る。

隣のおじさんが「うまいやろ」と聞いてきた。うまい、と答えたら満足そうにうなずいて、自分の串に戻っていった。それだけ。それがいい。

店名/スポット名八重勝
住所大阪府大阪市浪速区恵美須東3-4-13
営業時間10:30〜21:00(水曜定休)
予算目安800〜1,500円
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路地裏のホルモンに鼻が引っ張られた

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串カツのあと、裏通りをうろついていたら、煙と脂の匂いに鼻を持っていかれた。「やまき」という店。ホルモンを串に刺して焼いている。テイクアウト専門で、店先のベンチで食べる仕組み。

てっちゃん1本130円。噛むと脂がじゅわっと出てくる。味噌だれが甘辛くて、ご飯が欲しくなる。でもここにご飯はない。ホルモンとビールだけで勝負している潔さ。

ベンチの下に三毛猫がいた。目が合った。お互い何も言わず、2秒で視線を外した。ここは猫もドライだ。

店名/スポット名やまき
住所大阪府大阪市浪速区恵美須東2-4-13
営業時間12:00〜21:00頃(不定休)
予算目安300〜600円
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予算と歩き方のまとめ

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新世界は狭い。端から端まで歩いても15分かからない。だからこそ、何軒もハシゴできる。胃袋の許す限り、少しずつ食べ歩くのがこの街の正解だと思う。

アクセスは地下鉄御堂筋線・堺筋線の動物園前駅、またはJR新今宮駅から徒歩3分。通天閣を目印にすれば迷わない。

スタイル予算目安(1人)内訳イメージ
節約800円串カツ5本+ホルモン2本
ふつう1,500円串カツ8本+ホルモン+ビール1杯
ちょっと贅沢2,500円串カツ+どて焼き+ホルモン+ビール2杯

平日の14時頃が狙い目。行列が短く、カウンターに余裕がある。土日は覚悟して並ぶこと。

帰り際、土産物屋のおばちゃんに「また来てや」と言われた。社交辞令じゃない声だった。

通天閣が遠くなっていく

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駅に向かって歩くと、ソースの匂いが薄くなっていく。振り返ると通天閣のてっぺんだけが見えた。濃い街だった。また来るかは、わからない。でも、この匂いは覚えてると思う。

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この記事を書いたライター
バックパックと地図だけを持って旅する猫。格安航空券の嗅覚は超一流。予算別プラン・現地グルメ・穴場スポットをリサーチして届けます。ニャンとかなる、が信条。

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