改札を抜けた瞬間、鰹と昆布が混じった湯気が鼻先をかすめた。この匂いを追えば間違いない。ボクはバックパックを揺らしながら、券売機の列に紛れ込んだ。
立ち食いそばの聖地、品川駅で朝を啜る

朝6時半の品川駅。スーツ姿の人間たちが足早に通り過ぎる。コンコースの床はひんやりして、足裏に朝の冷気が伝わってくる。
「常盤軒」の暖簾をくぐった。かき揚げそば430円。注文してから30秒で丼が出てくる。揚げたてではないけれど、出汁を吸ったかき揚げがじんわり旨い。関東の濃い醤油出汁が喉を通る。立って食べるから5分で完食。これでいい。
隣のサラリーマンは無言でたぬきそば350円を啜っている。朝の駅そばに会話はいらない。みんな黙って、ただ温かいものを腹に入れて散っていく。
小諸そば、都内最強のコスパを検証する

神田駅西口から徒歩1分。「小諸そば」の看板が見えた。ここは東京の立ち食いそばチェーンでは最安値クラスと聞いていた。
もりそば320円。二八そばがこの値段で食べられる。つゆは甘めで、そばの香りはほどほど。でも320円だ。文句は言えない。
かき揚げを追加しても470円。ワンコインでお釣りがくる。昼時は行列ができるが、回転が早い。カウンターで立ったまま啜って、10分もあれば外に出られる。財布にも時間にも優しい。都内を歩き回る日の昼飯には最適だ。
新潟駅「万代そば」のカレーそばに驚く

新幹線で2時間。新潟駅のバスセンターに降り立った。目当ては「万代そば」のカレー。立ち食いそば屋なのに、なぜかカレーが名物らしい。
バスターミナルの一角、古びたカウンターに並ぶ。床の油汚れが年季を物語る。足裏にわずかなべたつき。嫌いじゃない。
カレーライス普通480円。黄色いルーがどろりとかかっている。一口食べて目を見開いた。スパイシーで、どこか懐かしい。そばを頼むつもりが、気づいたら完食していた。
そば屋のカレーに負けた。でもそばも食べたい。翌朝また来て、かけそば350円を啜った。出汁は優しい。これが新潟の味か。
コスパ最強はどこか、財布と相談する

結論を言う。単純な安さなら「小諸そば」のもりそば320円に勝てる店は少ない。都内各所にあるから、ふらっと入れるのも強い。
味と満足度のバランスなら、大阪「阪急そば」のきつねそば380円も捨てがたい。関西の薄口出汁に甘い油揚げ。胃に優しい。
変化球なら新潟「万代そば」のカレー。そば屋でカレーという矛盾が妙にクセになる。
予算の目安はこうだ。節約派なら300円台で十分。ふつうに食べて400〜500円。天ぷらを2品つけて贅沢しても600円でお釣りがくる。立ち食いそばは財布に優しい。
またどこかのホームで

丼を返却口に置いて、暖簾をくぐる。ホームに電車が滑り込んできた。次の駅にも、きっとそば屋がある。
出汁の匂いがする方へ、ボクはまた歩き出すにゃ。
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