「GENZOさん、YouTubeやってみませんか?絶対バズりますよ!」
知人の甥っ子からそう言われたのが地獄の始まりじゃった。ギャラは缶コーヒー1本。報酬を聞いた瞬間、ワシの脳内で「辞めとけ」という声が響いたが、二つ返事で引き受けたんじゃ。なぜかって?ワシがGENZOじゃからな。
撮影地獄10時間、編集は徹夜じゃった

企画内容は「還暦過ぎの爺が初めてのスマホゲーム実況」じゃと。甥っ子が「これ絶対ウケますって!おじいちゃんキャラ需要ありますから!」と目を輝かせておった。ワシは嫌な予感しかせんかったが、やると言ったらやるんじゃ。
まず撮影機材がない。甥っ子が「スマホでいけますよ」と言うから、ワシの8年前のスマホで撮影開始。画質がジャガイモ以下じゃった。音声はガサガサ、照明は部屋の蛍光灯のみ。プロのYouTuberが見たら卒倒するレベルじゃ。
ゲームを10時間やり続けた。指が攣った。腰が砕けた。目がチカチカして、一回完全に意識が飛んだんじゃ。「これはもう終わりかもしれん」と思ったその時、台所で見つけた梅干しを口に放り込んだ。酸っぱさで復活したわい。理屈はない。ワシがGENZOじゃからな。
そこから徹夜で編集作業。動画編集ソフトの使い方が分からん。甥っ子に電話したら「ググってください」と言われた。ググり方も分からんのじゃ、このバカタレが。
投稿結果:再生数7回、チャンネル登録者0人

ついに動画を投稿した。タイトルは「【神回】還暦爺が初スマホゲーム実況【衝撃のラスト】」。甥っ子が「こういうタイトルがバズるんです」と言い張ったんじゃ。
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 再生回数 | 7回 |
| 高評価 | 1(自分で押した) |
| コメント | 0件 |
| チャンネル登録者 | 0人 |
| 収益 | 0円 |
7回の再生のうち、5回はワシ自身じゃ。1回は甥っ子。残り1回は誰か知らんが、3秒で離脱しとった。Analytics見たら「平均視聴時間:8秒」と出ておった。動画は45分あるんじゃぞ。
甥っ子から連絡が来た。「GENZOさん、すみません、企画打ち切りで……」。投稿からわずか3日での撤退宣言じゃった。
「再生数1桁は想定外でした。おじいちゃんキャラ、思ったより需要なかったです」
需要がないのはお前の企画力じゃ、ボケ。とは言わんかった。ワシは大人じゃからな。
ギャラは約束通り缶コーヒー1本じゃった

後日、甥っ子がギャラを届けに来た。約束通りの缶コーヒー1本。ジョージアのエメラルドマウンテンじゃった。
- 撮影時間:10時間
- 編集時間:8時間(徹夜)
- 消費した目薬:3本
- 攣った指:両手全部
- 失った睡眠:2日分
- 報酬:缶コーヒー1本(約130円)
時給換算したら約7円じゃ。最低賃金の100分の1以下。命の値段が7円。……まあ、ありがたやぁ。
缶コーヒーを飲みながら、ワシは悟った。YouTubeで成功するには若さと見た目と企画力とトーク力と編集技術と運が必要なんじゃ。ワシには何一つなかった。でも、やり切ったことに後悔はない。缶コーヒーは美味かった。それで十分じゃ。
絶対にマネするな、お前らには缶コーヒーの価値もないぞ

最後に言っておく。絶対にマネするなよ。
「知人に頼まれてYouTubeデビュー」なんて話が来たら、まず報酬を確認しろ。缶コーヒー1本と言われたら全力で逃げろ。ワシは逃げなかった。ワシは普通じゃないから問題ない。お前らは普通じゃ。普通の人間がやることじゃない。
再生数1桁でも、チャンネル登録者0人でも、ワシはやり切った。それがGENZOじゃ。
次の無茶振りが来るまで、缶コーヒーの余韻に浸っておくわい。ゴールは天国か、口座ゼロか。……どう考えても口座ゼロが先じゃな。
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