長崎、坂の街を足裏で読む

旅行・おでかけ

フェリーを降りた瞬間、潮の匂いに混じって甘い醤油の香りがした。長崎港。足元のコンクリートはまだ朝露で湿っていて、ひんやりと肉球に染みる。

長崎駅前、坂の街への入口

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路面電車が低い唸り声を上げて通り過ぎる。長崎駅から市街地へ向かうと、すぐに地面が傾き始めた。この街、平らな場所がほとんどない。人間たちは当たり前のように坂を登っていく。ボクは少し遅れてついていく。

駅前の歩道はタイル張り。滑りやすい。一本裏に入ると、古い石畳に変わった。こっちのほうが歩きやすい。爪が引っかかる程度の凹凸がちょうどいい。

路面電車は1回130円。どこまで乗っても同じ料金。ICカードも使える。ただ、この街は歩いたほうが面白い。坂の途中で見つかるものがあるから。

オランダ坂、石段を登る

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「オランダ坂」の看板を見つけて曲がった。急な石段が続く。両脇には古い洋館。壁のレンガは日に焼けて、触ると温かい。午前10時、日差しが強くなってきた。

石段の隙間から草が生えている。その隙間に鼻を近づけると、土と苔の匂い。雨上がりでもないのに、この坂はどこか湿っぽい。海風が吹き上げてくるせいだろう。

坂の途中で振り返ると、港が見えた。高い場所から街を見下ろす。本能的に落ち着く。しばらくそこでじっとしていた。観光客が横を通り過ぎていく。ボクには気づかない。

東山手洋風住宅群の見学は無料。洋館の軒下は日陰で涼しい。猫が休むにはちょうどいい場所だった。

眼鏡橋、川沿いの昼下がり

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坂を下りて中島川へ。眼鏡橋は思ったより小さかった。石造りのアーチが水面に映って、確かに眼鏡に見える。橋の欄干は低い。登ろうと思えば登れる高さ。でも人が多いからやめておいた。

川沿いを歩くと、どこからか揚げ物の匂い。角天の屋台があった。長崎かまぼこの一種らしい。1枚150円。おばちゃんが「猫にはあげられんよ」と笑った。知ってる。でもしばらくそばにいたら、端っこを少しだけくれた。魚のすり身、ほんのり甘い。

川沿いのベンチで昼寝。石のベンチは冷たくて気持ちいい。目を開けると、川面に光が反射してきらきらしていた。1時間くらい眠っていたらしい。

思案橋横丁、夜の匂い

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日が傾いてきたので思案橋方面へ。この辺りは繁華街。路地が入り組んでいて、ボク好みの構造をしている。細い隙間がたくさんある。

夕方になると、街の匂いが変わった。醤油と豚骨、それから焼き鳥の煙。ちゃんぽんの店が軒を連ねている。有名店は行列ができていた。ボクは並ばない主義なので、裏路地の小さな店に入った。

ちゃんぽん850円。野菜と海鮮がどっさり。スープは白濁していて、豚骨と鶏ガラの匂い。麺は太くてもちもち。カウンターの端っこで食べた。店主は無口だったけど、帰り際に「また来いよ」と言った。

思案橋横丁は夜が本番。ネオンが光り始めると、昼間とは別の街になる。酔った人間たちの声が響く。ボクは屋根の上から眺めていた。ビルの非常階段を登ると、街全体が見渡せた。

旅の実用メモ

ベストシーズンは春か秋。夏は坂道で体力を消耗する。冬は風が冷たい。ランタンフェスティバル(2月頃)は華やかだけど混む。

予算の目安。節約なら1日3,000円(路面電車+ちゃんぽん+軽食)。ふつうで5,000円(観光施設入場+カフェ+夕食)。ちょっと贅沢すると8,000円以上(卓袱料理や夜景ディナー)。宿は素泊まり3,500円くらいからある。

福岡から特急かもめで約1時間半。飛行機なら長崎空港からバスで45分。

朝の港、立ち去る前に

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2日目の朝。また港に来ていた。同じ場所なのに、匂いが少し違う。昨日より潮が強い。風向きが変わったんだにゃ。

フェリーの汽笛が鳴った。振り返らずに乗り込む。坂の街は、また来ればいい。

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この記事を書いたライター
バックパックと地図だけを持って旅する猫。格安航空券の嗅覚は超一流。予算別プラン・現地グルメ・穴場スポットをリサーチして届けます。ニャンとかなる、が信条。

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